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【航空機知識】ドラッグ・シュート
| 航空機(特に戦闘機)の中には、着陸後おしりからパラシュートを引きながら減速する機体がある。 民間機では希だが、軍用機では多く目にするだろう。 ![]() これはパラシュートではなく、「ドラッグ・シュート」と呼ぶ。 |
| 航空自衛隊の戦闘機でも、F-4戦闘機と、F-2支援戦闘機がこのドラッグ・シュートを装備する。 F-4戦闘機の場合は、機体重量が非常に大きくさらに主脚のホイールブレーキは、いわゆる「鉄っちんブレーキ」で、車輪とともに回転するディスクと機体側に保持され回転しないディスクを交互に重ねた鋼製のブレーキディスク17枚で減速するという旧式の構造(ブレーキをかけると、これら多数のブレーキディスクを油圧の強い力で挟み込むことで減速する)であるため、ブレーキの負担を軽減するために装備している。 一方でF-2は、機体も軽量であるうえ、ホイールブレーキも高級なカーボンブレーキなので、本当はドラッグ・シュートを必要としない機体だが、国内のドラッグ・シュート生産技術や職人を維持する必要もあるだろうし、いろいろと大人の事情もあるかもしれない。 また、ドラッグ・シュートを併用することでカーボンブレーキへの負担が軽くなるのは事実だろう。 F-2は、米空軍のF-16戦闘機を基に設計されているが、F-16にはドラッグ・シュートは装備されていない。一部装備する機体もあるが、それは北欧仕様で一年の多くが凍結路面の滑走路となる国では、ホイール・ブレーキだけでは心配なのだ。 ドラッグ【Drag】は、「引っ張る」という意味で、「抵抗」としてのニュアンスもあると思う。PCでもドラッグ&ドロップなどという言葉で使われているし、直進のみで速さを競う「ドラッグ・レース」も抵抗に打ち勝って速く走る(=コーナーリング等の技術ではなく)競技。 「ドラッグ・ストアー」の「ドラッグ」はクスリ【Drug】。 ![]() ドラッグ・レースでも減速時にはドラッグ・シュートが使用される。 ホイールブレーキにドラッグ・シュートを併用すると、ホイール側の負担を軽減することができ、タイヤ、ブレーキの摩耗はとても緩やかになる。 ちなみにF-15戦闘機などは、ドラッグ・シュートを装備していなくても着陸後にすぐに機首を下げず、ずっとアタマを上げた姿勢のまま減速することで主翼をドラッグ・シュートの代わりにする着陸方法を基本スタイルとしている。重量物でありかつ、垂れ下がった低効率の水平尾翼を持つF-4ではマネのできない技だ。 F-15の着陸。 この「ドラッグ・シュート」、着陸後の減速を目的に装備するものではあるが、実は搭載することで生きて帰れる期待も増えることになる。 戦闘機は、旅客機や輸送機などと違って水槽で泳ぐ魚のごとく3次元で動き回り、ひっくり返って天地が逆転したり、地球の中心めがけて垂直に降下するようなことも当たり前。しかし機体は流れる空気のおかげで辛うじて空中に存在できているのであって、ひとたび体勢を崩してしまうと、空気に見放されてしまい操縦不能に陥ってしまうことにもなる。 「きりもみ」という現象はよく知られているが、機体が回転してしまい止めようとしても舵が効かなくなっていて「どうにもならん」という状態。 そんなときはもちろんどうすべきかという回復手順があるわけであるが、どうしてもダメなときにはこのドラッグ・シュートを開傘(かいさん)することで復帰できる。 ドラッグ・シュートは、機体の尾部か尾部に近い場所に装備されているので、開くことによってケツを引っ張ることができるのだ。ワケのわからん挙動不審もケツを引っ張られることでアタマが正面を向き落ち着くのだ。 落ち着くと同時にシュートの抵抗で速度は落ちてしまうので、安定を取り戻したらシュートを切り離して加速を開始すれば、通常の飛行状態に回復でき、これはドラッグ・シュートを装備する機体にはマニュアルにその手順も示されている。 高度が十分にある場合で、一度だけ使える手段だ。 ![]() (ありゃ。それでもダメだったか・・・) ちなみに、新型の戦闘機は初飛行から量産までに多くの試験飛行を実施して性能の確認や改善点を探したりすることになるのだが、これらの試験飛行では特に危険を伴うような飛行課目などにおいて、このシュートを装備することがある。 試験飛行で装備する場合には「ドラッグ・シュート」ではなく「スピン・シュート」と呼ばれる。 「スピン」とは、上記の「意図しない回転運動」のこと。 スピン・シュートは、ドラッグ・シュートと違い一時的な装備なので、シュート(傘体)を入れた筒状のコンテナを鋼製のパイプ等で櫓(やぐら)を組んで取り付けた、機体にとってつけたような不自然な見た目となることが多い。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ドラッグ・シュートをスピン・シュートとして使うこともできるが、その逆もできる。 暫定装備か内蔵かの違いだけで、同じモノだ。 大型機でも使用され、機体が大きくなる分、ドラッグ・シュートも巨大化する。 ![]() B-52 ![]() XB-70"バルキリー" ![]() SR-71"ブラック・バード"。 ![]() スペース・シャトル。 F-4の場合は、よほど向かい風の強い状況でない限りほぼ間違いなく使用して着陸する。停止後は、滑走路の端で切り離して駐機エリアへ向かい、切り離されたドラッグ・シュートは整備員がまとめて回収し、専門のショップへ搬入する。 搬入された開傘後のシュートは、たたむ専門チームが手順通りにたたみ、形状こそ違うがスカイダイビングの人が背負うようなナイロンのバッグに入った状態になる。 ![]() ナイロンのバッグに入ったシュートは、また整備員がまとめて受け取りに行き、自隊に持って帰って来たら格納庫内の専用の棚に整然と並べておく。 上の画像はハングルで書いてあるので、韓国空軍のF-4用ドラッグ・シュート。 左側が尾部になる。大きな袋にドラッグ・シュートが入っていて、その後ろの小さな袋にはドラッグ・シュートを引っ張り出すための中心にバネを内蔵した小さな傘が入っている。バネを縮めた状態で上下左右4枚のフラップ(袋の耳)を閉じてピンが挿してある。 ピンといっても、ただのステンレスワイヤーだ。末端には「REMOVE BEFORE FLIGHT」と書かれた赤いフラッグがついていて、離陸前に抜くのを忘れてしまわないようになっている。 機体に積み込む前にこのピンを抜いてしまうと、びっくり箱(発想が古くてm(_ _)m)のように小さな傘がバネの力で飛び出してしまう。 そうなると、せっかく畳んでもらったドラッグ・シュートは使えなくなり、次のを持ってきて積み込むしかない。 機体に積み込んだら、ドラッグ・シュート・ドアを閉じるので、ピンを抜いても飛び出さないが、ピンを抜いてしまうとドラッグ・シュートが積み込まれているか確認できなくなってしまうため、離陸前のパイロットの外観点検まで抜かずにおく(外観点検時にパイロットが引き抜くことになっている)。 F-4のドラッグ・シュートで説明すると、ドアが開きドラッグ・シュートを引っ張り出すための小さな傘がバネの力で飛び出すと、小さな傘は風を含んで膨らみ、ドラッグ・シュートを引き出そうとするのだが、ドラッグ・シュートを引き出す前にナイロンのバッグごと引っ張り出してしまう。バッグは外に引き出され、自重で落下しようとするのだが、そういている間にドラッグ・シュートが引き出されるので落下することなくドラッグ・シュートが開く。 タイミングがあえば面白い写真が撮れるはずだ。 飛行を終え、戻って来たF-4は、エンジン停止後、整備員によってドラッグ・シュートが装填される。 ![]() 装填してから長期間経ってしまい、ナイロンバッグの中で固まってしまって開傘しなかったということにならないよう、装填した日を整備記録へ記入しておき、その日から10日間を経過した時点で新しいドラッグ・シュートと入れ替える必要がる。消費期限は10日なのである。 |
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今まで知りたくても中々情報がなかった痒いところに手が届く内容で一気に全記事を読み漁ってきました^ ^
増槽の構造や何で翼端に増槽を付けていたのかなどずっと気になっていたのですが調べ方も分からずモヤモヤしていたものが一気に解決してしまいました笑
これからも好奇心をあおる面白い記事をワクワクしながら待っています^ ^